てんかん発作の種類と薬物療法|痙攣の違いについて

痙攣発作を主訴に救急搬送される患者は多く、救急看護師時代に何例も対応しました。

中でも特に多かったのがてんかん発作だったと思います。
そこで、乳児~高齢者まで幅広い世代で起こり得るてんかん発作」について説明します。

てんかん発作とは

脳の一部の神経細胞が突然、一時的に以上な電気活動を起こすことでてんかん発作をという症状を引き起こす、脳の慢性疾患です。

異常な電気活動が脳のどの部位で起こったかによって、身体に出る症状は異なります。
症状は一過性で、てんかん発作が終わった後は元の状態に回復することが一般的です。

てんかん発作が続いた後は意識混濁が続く場合もありますが、もし症状が長引き元の状態に戻らない場合はてんかん以外の疾患が原因の可能性もあるので注意が必要です。

てんかんと痙攣の違い

てんかん:病名
痙攣:症状

を指します。
痙攣の原因の1つに「てんかん」があるわけです。
救急現場ではてんかん患者の痙攣を診る機会が多いです。

原因別にてんかんは2種類あります

てんかんの原因によって名称が異なり、脳疾患が既往にある方は「症候性てんかん」、原因不明の場合を「特発性てんかん」と呼びます

「てんかん」と言うと、小児期から発症することが多いイメージがありますが、脳疾患・頭部外傷が原因でてんかん発作を招くということを理解しておきましょう。

特に注意すべきことは、症候性てんかんの時期です。
脳疾患・頭部外傷の受傷後すぐではなく1か月以降経過し、慢性期になってから症候性てんかんを発症することがほとんどなので、既往に脳疾患があるかどうかは確認しています。

てんかんの部分発作と全般発作の違い

大きく分けると、部分発作と全般発作に分かれます。

部分発作:脳の一部
全般補佐:脳全体

で異常が発生しています。

救急搬送される症例は大発作と呼ばれる、部分発作の中の二次性全般化発作と全般発作の中の強直間代性発作が多いです。

部分発作を見ていきます

単純部分発作

意識がはっきりしているため、発作中どんな症状が出たかも覚えています。
発作時間も短く、単純部分発作が時折、起こる程度であれば生活に問題ないです。

【主な症状】

片方の手足や顔がつっぱる、ぴくぴくする、痺れが出る
幻視、幻聴
突然の感情の変化(怖い、寂しい、懐かしいなど)
上腹部の違和感、吐き気

複雑部分発作

意識障害をきたし、発作中の記憶はありません。
これが、単純・複雑部分発作の1番大きな違いになります。

大人のてんかん発作で最も頻度が高い発作で1~3分持続します。

【主な症状】

ぼっーとし、動作を止めて呼びかけに反応がなくなる
手足をもぞもぞ、口をもぐもぐする、うろうろ歩くなど意味のない動作が出る
全身をばたばたさせる、自転車をこぐような動きなど

脳のどの部分が興奮するかによって症状が異なりますが、意識障害をきたしていることが特徴で、危険な証拠です。

二次性全般化発作

単純・複雑部分発作から、電気的興奮が脳全体へ広がって、全身にけいれん症状が表れます。

【主な症状】

意識をなくし、手足を突っ張らせた後、がくがくと全身性のけいれんが起こる
発作の後半が次に説明する強直間代性発作とよく似ています。

全般発作を見ていきます

(参照元:てんかんfor school)

強直間代性発作

一般的に知れ渡っているてんかん発作です。

【主な症状】

叫び声・うめき声
手足を硬く伸ばして、全身が硬くなる(強直性)
手足を一定のリズムで大きく動かす(間代性)

発作中は全身に力を入れるため食いしばる傾向にあり、舌の損傷や呼吸停止に注意が必要です。

痙攣時間は1分程度。
発作終了後は、そのまま寝てしまったり、意識がもうろうとし失禁することがあります。
30分以内に意識は回復しますが、頭痛、筋肉痛、嘔気を生じることがあります。

欠神発作

小児期に発症することが大半で、成人期以降の発症は稀です。

【主な症状】

突然動作が停止する
会話中にぼーっとし、反応がなくなるなど

発作時間は10~20秒と短いので、周囲からは「上の空」だっただけで病気と思われず、欠神発作が続く場合は注意散漫などと勘違いされることもあります。

ミオクロニー発作

【主な症状】

突然手足がぴくっと動く
単発で起こることや、手足のぴくつきから全身性の発作へ続くこともあります。

症状が出やすい時間は寝起きです。症状は本当に一瞬なので意識障害があるかも判断できません。

脱力発作

【主な症状】

突然力が入らなくなり、頭ががくんとしたり時には無防備に倒れるなど。
発作時間は数秒以内と短いですが、突然起こるので頭部を強打する可能性があり危険です。

てんかん発作の検査と診断

最重要:問診と脳波

脳の異常な電気信号が原因でてんかん発作を生じるため脳波は必須です。
1回の脳波検査でてんかん波を認めるのは約半数と言われているので繰り返しする必要があります。
また、睡眠中にてんかん波は増加する傾向にあるので、覚醒時と睡眠時の2度測定します。

(長時間ビデオ脳波検査)と言って長時間モニタリングする検査もありますが、てんかん専門病院でしか実施されておらず、もちろん救急現場でもしません。

画像診断:CT・MRI

症候性てんかんの場合、脳疾患が隠れている可能性があるため画像診断で原因検索をします。PETやSPECTもありますが、救急現場ではしません。

てんかん発作の治療

薬物療法と外科療法があります。

一般的な治療は内服ですが、難治性てんかんの場合、電気治療など外科的な処置を行う場合もあります。

救急現場では抗てんかん薬の投与しか対応できません。

内服治療

抗てんかん薬は2種類あります。
・興奮を抑える薬
・抑制力を強める薬

組み合わせや量は血中濃度を測定しながら、調整します。

【ERナースのアドバイス】
抗てんかん薬の内服・投与前に血中濃度を測る必要があります。
薬を飲んでいない時間にどれだけ身体の中に残っているかを調べる必要があるからです!
7時測定が多いと思いますが、血中濃度検査は時間を守り、内服前にすることを忘れずに!

よく使われる抗てんかん薬と副作用

抗てんかん薬 副作用
フェニトイン 歯肉増殖
カルパマゼピン 白血球減少
フェノバルビタール (小児)多動・かんしゃく・興奮
ゾニサミド 体温上昇
パルプロ酸ナトリウム 高アンモニア血症
エトスクシミド 嘔気・嘔吐
ベンゾジアゼピン系 呼吸抑制
ガバペンチン 体重増加
トピラマート 腎結石
ラモトリギン アレルギー性皮膚炎
レぺチラセタム 気分変動

一般的な抗てんかん薬です。
副作用の頻度は低いですが、知識として知っておく必要があります。

最近、てんかん発作が出ていないから大丈夫だろうと抗てんかん薬を自己中断してしまうと、血中濃度が急激に低下し、てんかん発作を発症するので、必ず医師から処方された内服を正確に飲み続けることが重要です。

救急看護の現場

救急外来

てんかん発作が続き、痙攣重積で搬送されることが多いです。

救急車内で痙攣が止まっている場合、繰り返している場合など様々ですが、まずは呼吸確保です。

酸素投与開始、呼吸抑制を認めている場合は挿管します。

抗けいれん薬を投与し、けいれんを止めることに専念します。

痙攣が落ち着いてから、原因検索として頭部CTと胸部XPへ。

頭部CTでけいれんの原因となる疾患の有無を評価します。脳疾患が分かった場合、状態安定後、MRIを検討する場合があります。

胸部XPは繰り返しの痙攣によって嘔吐・唾液による誤嚥の可能性があり肺炎を評価するために必要です。

【確認事項】

・発作持続時間
・どこから発作が始まったか
・痙攣時の様子
・既往歴、内服情報
・瞳孔所見

救急部ICU

人工呼吸器の管理が必要な患者が入院対象となります。

24時間鎮静剤を投与することが通常のため、些細な痙攣には気づきにくくなっていますのでモニター変化や動きに注意が必要です。

てんかんによる痙攣重責の場合k、抗てんかん薬の血中濃度が回復すれば痙攣はおさまり、抜管できます。

ICUでは安全確保と痙攣の早期発見・対処が必要です。

救急病棟

挿管管理が不要だが、痙攣が続く可能性がある人が入院対象となります。

てんかんの既往がある人は前駆症状を把握していることが多いので、必ず確認し前駆症状を認めたらすぐにナースコールを押すよう説明しましょう。

また、いつ痙攣が起こるか分からないので酸素投与、ジャクソンリース、吸引の準備は必要です。

【観察項目】

・瞳孔所見
・意識レベル
・脱力、筋緊張の有無
・消化器症状
・心電図変化

は必要です。

痙攣している患者さんに遭遇したら

痙攣はどの部署でも起こり得る症状です。

最も重要なことは安全+気道確保です。
ただし嘔吐していれば側臥位へ。

可能であれば、発作持続時間、どこから始まり、どんな痙攣だったか、瞳孔の左右差や偏位を確認しましょう。

痙攣時は慌てず冷静に!

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