脳出血の種類と治療|被殻・視床・皮質下・脳幹・小脳の症状

脳出血には脳幹、被殻、視床、小脳、皮質下出血と部位によって起こる症状や予後も変わります。

世間一般では脳卒中なんて言う表現もされていますが、脳卒中とは病名ではないので医療者は使いません。

まずは脳卒中と脳出血の違いと部位毎の脳出血の症状などを説明していきます。

脳卒中は脳血管障害という意味合い

脳血管障害のことを指し、 脳の血管が詰まる脳梗塞や血管が裂ける(脳出血・クモ膜下出血によって、受傷部位から先の血管の血流が乏しくなり、脳の働きに障害をきたす総称です。

*脳卒中という診断はありません。

脳出血の病態と知ってほしい知識

名前の通り、何らかのの原因で脳の血管が破れて出血を起こしている状態のことを言います。
脳の中で出血を起こすと、脳細胞が死んでしまうのであらゆる障害を招き、最悪の場合、死に至ることもありえます
どの部位から出血しているか、血種がどれくらいの大きさかによって分類や重症度が変わります。

脳出血の原因

生活習慣病:高血圧や動脈硬化
      血管壁の負担が大きくなり血管が破綻することが多いです。

器質的疾患:脳動脈奇形やもやもや病、脳腫瘍
脳血管に関連する疾患です。

その他:肝臓疾患や血液疾患による易出血状態
    心筋梗塞や脳梗塞など抗血小板剤を内服している人や心房細動や深部静
脈血栓症で抗凝固薬を内服している人は出血リスクが高い状態なので脳
出血のリスクもおのずと高くなります。

脳出血の種類と部位の位置関係

どの部位で出血をきたすかによって、症状や予後が異なります。

脳の断面図と上から見た図を組み合わせて脳を立体的にイメージするとこれから説明する各部位による脳出血の症状が理解しやすくなります。

被殻出血

脳出血の40~50%と高頻度。
被殻部は運動や感覚だけではなく言語理解や認知などの高次機能を司る神経が通っている部分です。

症状

頭痛、片麻痺、半身感覚障害、顔面神経麻痺が多い。
目が同じ方向を向く共同偏視を認めることがある。


運動麻痺や感覚麻痺は軽度だが、被殻に隣り合わせになっている内包や視床、側頭葉に影響を及ぼすくらい出血が大きい場合は、重度の感覚障害や失語、意識障害を生じることもある。

視床出血

脳出血の30%の頻度。
視床は視床下部とともに間脳の一部で、感覚機能を調整する神経が集まっている場所です。
視床は脳の中央に位置し、出血すると死亡率が高い脳出血の1つです。

症状

温冷感覚や接触感覚、痛覚に感覚障害、顔面神経麻痺や片麻痺、頭痛を伴います。
両目が鼻先を見るような寄り目のようになる内下方偏位見られます。


視床から内包や被殻は近い場所にあるため、出血が大きい場合は運動障害を引き起こす可能性もあります。

視床出血は重度の痺れや神経痛、意識障害、半身麻痺など後遺症が残りやすい脳出血になります。また、麻痺側を中心に激しい疼痛を伴うことがあり視床痛と呼ばれています。

皮質下出血

脳出血の10~20%の頻度。
大脳の表面を覆う広範囲な部分を指します。
他の脳出血と同様に高血圧が原因になることもありますが、易出血状態や外傷によっても起こる可能性があります。

症状

皮質下が広範囲なので特徴的な症状は特になく出血部位によってさまざまです。
強いてあげるなら、片麻痺、失語、半盲を認める頻度が高いと思われます。
偏視による特徴はありません。

特徴

皮質下出血では、症候性てんかんを起こす可能性があります。
脳出血に限らず、脳卒中発症後に時間が経ってから発症するけいれん発作のことです。
一度脳にダメージが生じたことが原因で、痙攣リスクが高くなります。発作を起こした場合は、脳波を確認し、抗けいれん薬の内服でコントールを開始します。

他の脳出血に比べ症状も軽度で、予後良好です。

脳幹出血(橋出血)

脳出血の10%の頻度。
脳幹とは間脳・中脳・橋・延髄によって構成されており、生命維持に関わる神経が集中している箇所です。
脳幹は運動・感覚神経の他に体温調節や呼吸管理、心臓の運動の指示を出す場所です。

症状

突然の激しい頭痛、眼球運動の障害、めまい、四肢麻痺、外転神経麻痺、痺れ、意識障害、体温調節ができず高熱になるなど。他の脳出血とは異なり症状の種類も多く、急激に発症します。
目が全く動かなくなる正中位固定を認めます。

特徴

脳幹の中でも橋から出血することが1番多いので橋出血とも呼ばれています。
生命維持に欠かせない神経が損傷するため、挿管管理を必要とする場合や死に至る可能性も高いです。外科的手術も繊細な場所のため適応外です。

小脳出血

脳出血の10%の頻度。
小脳は運動機能を司る神経が集まっている場所です。

症状

回転性のめまいや吐き気、激しい頭痛、歩行障害、起立障害、意識障害を生じます。身体のバランスが悪くなるイメージです。
出血を起こしていない方向へ目が向く健側への共同偏視を認めます。
脳幹に近いので出血が多い場合は、生命の維持が難しくなることもあるので特に呼吸状態に注意が必要です。

特徴

手足が動かなくなるという麻痺症状は認めません。
出血部位と同側に症状が現れます
例えば、小脳の右側を出血した場合は、右利きの人はお箸を持ってご飯を食べるという動作がやりにくくなったり巧緻性が低下しお箸を持つことが難しくなるなど。

脳出血の検査・診断

頭部CT:出血部位を特定します。ただし、超急性期かつ少量の出血の場合は顕在化していないことがあり、出血箇所を特定できないことがあります。

頭部MRI・MRA:CTよりも感度が良く確実に出血部位を確認できます。

この2つの検査と症状によって確定診断できます。
症状だけでは脳梗塞か脳出血かを鑑別するのは難しいので必ず画像で確認します。

脳出血の主な治療

薬物治療と安静管理

血圧管理と脳浮腫予防に限ります。発症後7日間は収縮期血圧140㎜Hg以下が望ましいとガイドライン上で言われています。
降圧剤として、カルシウム拮抗薬・硝酸薬・β遮断薬・アンギオテンシン変換酵素阻害薬・アンギオテンシン受容体拮抗薬などを使用します。

脳浮腫予防として2週間以上グリセリンという点滴を投与します。
脳浮腫は受傷後3日目から認め、浮腫が最大になるのは1~2週間と言われていますので、その期間は点滴治療を続けます。

*皮質下出血は予後良好であり薬物治療が基本です。

頭を低い位置で保持してしまう頭蓋内圧亢進症予防のためにヘッドアップが基本です。
出血部位や量によりますが、急性期は床上安静となるでしょう。
ヘッドアップの指示が緩くなってきたら早期にリハビリを開始しないとADLの低下、廃用症候群のリスクが高くなります。

カテーテル治療

大腿動脈から直径2㎜程度のカテーテルを挿入し、血管内に造影剤を投与しながら透視により血管走行を確認し、目的の出血部位までカテーテルを挿入します。

出血部位にコイルと呼ばれる血管損傷部を埋めるものを設置することで止血効果が得られ脳出血を治療できます。

カテーテル治療は脳出血のみならず、脳梗塞の場合では梗塞・狭窄部位をステントを挿入して広げるという方法もあり、脳領域の治療法が広がっています。

動脈穿刺だけなので手術のように全身麻酔や挿管管理も不要なので低侵襲治療として魅力的です。

手術療法:開頭血腫除去術

小脳出血や被殻出血や皮質下出血の一部かつ出血量や血種の大きさ、術中の合併症リスクなど総合的な評価の下、決まります

名前の通り頭蓋骨を一部切り取り、頭蓋内圧を逃がしてあげること、血種を除去することが目的です。
頭蓋骨を外した部分は脳組織が守られていないので、ペコっと凹んだ状態になっています。そのため、強く抑えたり、ぶつけるなんてことがないように注意しましょう。
急性期を脱し脳浮腫がないことを確認の上、いずれ頭蓋骨は戻します

*視床出血や脳幹出血は脳の中心的組織で神経も多いため手術はできません

救急看護の実際

救急外来

症状から脳出血か脳梗塞のどちらかを疑うと思います。

CTやMRIを撮影するまで確定できないので、ベッドはフラットのままで初期診療を行います。
バイタルサイン測定、意識レベルの確認、採血はいつも通り実施します。

症状を確認し、早急にCT撮影へ行き診断がつきます。(緊急なのでMRIに行くことはほぼないでしょう。)
出血と分かれば、ベッドアップをどのくらいにするか医師へ確認しましょう。
恐らく16~30度程度になるはずです。

視床出血や脳幹出血などの場合は挿管管理となる場合もありますので呼吸状態に注意が必要です。

救急外来から直接アンギオや手術へ出棟する場合やICUに入室することになりますので、各部門で時間調整が必要です。

救急部ICU

脳幹出血や出血部位が広範囲で急変リスクが高い状態の患者が入院対象になります。また術後患者も該当します。

合併症予防が1番の役割です。
合併症として注意が必要なのは再出血、脳血管攣縮、脳浮腫予防の3つです。
特に脳幹で近い箇所での出血の場合は、呼吸状態が急激に悪化する可能性もあるので家族のケアも求められます。

救急病棟

比較的軽症の脳出血患者が対象です。出血の拡大の有無を評価するため搬送後3時間、6時間、12時間後など時間を刻んでCT検査で確認するでしょう。

ICUと一緒で合併症予防に努めます。
特に1番力を入れるのは血圧管理となりますが、出血の吸収と血圧の良好なコントロールができればリハビリを始めます。

後遺症が残らないようなるべく早期にリハビリ介入をし、急性期を脱したら一般床への転棟または転院調整に入ります。

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