原因別の6種類の髄膜炎と髄液検査の看護

髄膜炎は乳幼児・高齢者に多く、重症例も多く早期対応が求められる病気です。

救急部では高頻度で遭遇する疾患です。

原因別の6種類の髄膜炎について

脳は内側から軟膜・くも膜・硬膜の3層で守られています。
軟膜とくも膜の間をクモ膜下腔と言い、脳脊髄液が流れており、ここに細菌やウイルスなどの感染し炎症した状態を髄膜炎と言います。

髄膜炎は原因によって6種類に分類されます。

種類①細菌性髄膜炎

原因菌は肺炎球菌やインフルエンザ菌、肺炎球菌、溶結性連鎖球菌B型、腸内細菌、緑膿菌が多いとされています。

細菌性髄膜炎の場合、急激に症状が悪化し、早期治療をしても10%程度が死亡、20~30%で後遺症が残る可能性があります。

【症状】

ほぼ全症例で認めるもの

  • 頭痛
  • 発熱
  • 嘔吐
  • 頸部硬直

脳炎を合併すると

  • 意識障害
  • 痙攣

を生じます。

種類②ウイルス性髄膜炎

髄膜炎の中で最も患者が多いのはウイルス性髄膜炎です。

原因ウイルスはヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、帯状疱疹ウイルス、エンテロイウルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルスなど。
幼児期や学童期にかかることが多く、ヘルペスウイルス以外の感染では数日~2週間以内に対症療法で軽快します。

【一般的な症状】

  • 高熱
  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 易刺激性
  • 光過敏症
  • 食欲低下
  • 倦怠感
  • 項部硬直

【ウイルス特有の症状】

  • エンテロウイルス…消化器症状・発疹や口内炎
  • ムンプスウイルス…耳下腺の腫脹
  • インフルエンザウイルス…菌に気痛・気道症状
  • 水痘帯状疱疹ウイルス…水疱・皮疹

種類③ヘルペス脳炎

ウイルス性髄膜炎の仲間ですが、ヘルペス脳炎は症状の出現が急性かつ重篤であり、致死率も30%と大変危険な疾患です。
ヘルペス脳炎はただちに抗ウイルス薬の投与を開始します。

【症状】

  • 発熱
  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 項部硬直
  • 意識障害(幻覚・妄想など)
  • 痙攣
  • 記憶障害
  • 言語障害
  • 人格変化
  • 異常行動

種類④結核性髄膜炎

結核菌を原因とする髄膜炎です。
細菌性やウイルス性髄膜炎に比べ緩徐に進行します。症状が明らかでないことも多いので、早期発見が難しいです。

肺結核に続発して併発しますが、その頻度は高くなく、患者自身の免疫力の低下など悪条件が重なり合併すると言われています。

【症状】

  • 発熱
  • 頭痛
  • 嘔気
  • 呼吸器症状
  • 脳神経症状(外転神経・動眼神経麻痺)が多い

【治療】

対症療法と結核の治療に準じます。

種類⑤真菌性髄膜炎

クリプトコッカス症に限り健常者も発症しますが、免疫力が低下した患者の日和見感染症として発症します。
ステロイド内服中、エイズ発症者、脳室シャントや血管内カテーテル挿入中の人はハイリスクです。

原因の真菌
クリプトコッカスやカンジダが代表的。

【症状】

  • 頭痛
  • 発熱
  • 嘔吐
  • 項部硬直
  • 性格変容
  • 意識障害

免疫不全があると、典型的な症状が明らかでないこともあります。

種類⑥無菌性髄膜炎

無菌性という名前ですが、感染していないという意味ではありません。
一般的な細菌検査で原因菌が検出されないが、細菌性髄膜炎と同じような症状を引き起こすため、無菌性と呼ばれています。
主な病原体は、エンテロウイルス属のウイルスです。代表的なものにエコーウイルスやコクサッキーウイルス、エンテロウイルスがあります。
感染以外では、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患や癌性髄膜炎・薬剤性髄膜炎が原因となっているものもあります。

【症状】

  • 発熱
  • 嘔吐
  • 頭痛

が3大症状です。

【エンテロウイルスの場合】

潜伏期間:3~5日
感染経路:飛沫感染・糞口感染(スタンダードプリコーションで対応)
治療:対症療法で1週間程度で軽快。

6種類すべての髄膜炎に共通する検査

  • 脳波(ヘルペス脳炎では側頭葉にてんかん波を認める)
  • MRI.CT
  • 髄膜検査(ルンバール)

髄液検査(ルンバール)とは

脳脊髄液を採取する検査
脊髄腔(骨髄と硬膜の間の空間)に針を進めて10ml程度の脳脊髄液を採取します。採取した脳脊髄液の中に含まれる蛋白質や糖の量、細胞の数や形態を検査し髄膜炎の確定診断をします。

髄液検査の必要物品

髄液検査の手順と看護師の介助方法

(*ピンク色は看護師が介助すべき内容です)

事前の準備として
必要物品は全てすぐに使えるよう開封し、清潔野に準備をします。

  1. モニターを装着。音が出る設定にしておいた方が良いでしょう。
  2. 患者に膝を抱えて横になってもらう。(エビのような姿勢)
    姿勢が崩れないように、体位の介助をします。
  3. 第3-4、5-6腰椎の周囲を大きく消毒。*穿刺部位:第3-4、5-6腰椎
  4. 医師が滅菌手袋を装着し、穴あきおいふをかける。
  5. 第3-4、5-6腰椎の間に局所麻酔をし、スパイナル針を刺す。(圧迫感があるので患者に声かけを)
  6. 脊髄腔まで針が侵入するとすぐに初圧の測定・クエッケンステットテストを行う(*下の章で説明します)
  7. 髄液を滅菌スピッツに採取(必ず清潔操作。事前に滅菌スピッツの蓋も開封しておいた方が良い)
  8. 終圧測定
  9. スパイナル針を抜針し、滅菌ガーゼで圧迫固定。
  10. 最低1時間は臥床、ヘッドアップ禁止の指示。

髄液検査で必要な検査項目と正常値

検査中に測定ができるのが初圧と終圧、外観(性状)です。医師が測定するので必ずメモを取りましょう。

髄液を測定することで細胞数、蛋白、糖の値は数日で分かります。

髄膜炎の種類による値の違い

このように違いがあるので、髄液検査の値によって髄膜炎の種類を鑑別できます。

クエッケンステットとは

左右の頸静脈を軽く圧迫すると、正常であれば10秒以内に100~300㎜H₂O程度に上昇し10秒以内に元に戻る。しかし、くも膜下腔に閉塞があると50㎜H₂O以下になる試験。
*頭蓋内圧亢進症の可能性がある場合など危険を伴うため最近では実施しないことが多い。

救急看護の実際

救急外来

救急搬送されてくる場合は、激しい頭痛・意識障害・性格・行動変容があると思います。痙攣発作を生じる可能性もあるため、ただちにバイタルサインや意識の確認、頭部CTの撮影が必要です。

ウイルス性や無菌性髄膜炎のように風邪症状と似た症状しかない場合があるので、炎症の疑いがあり、肺炎・尿路感染など一般的な感染症の診断がつかない場合は、髄膜炎を疑い髄液検査を施行します。

救急部ICU

痙攣重積を認める髄膜炎の場合やウイルス性脳炎・細菌性髄膜炎の患者が入院対象となるでしょう。

中枢神経障害を認め意識レベルが低下し、予測できない行動を伴う場合があるので注意が必要です。また痙攣重積により呼吸抑制のリスクもあるので、呼吸状態の変化にも気を配りましょう。

救急病棟

髄液検査後に入院する場合と入院してから感染源を探すために髄液検査を施行する場合の2パターンがあります。

髄液検査は患者のベッドでできる処置ですので、物品さえ用意すれば大丈夫です。

髄膜炎患者の観察項目

  • 意識レベル
  • 痙攣
  • 頭痛
  • 嘔気
  • 髄膜刺激症状
  • 採血データ(炎症値)の推移

が基本です。

髄膜炎のまとめ

  • 細菌性髄膜炎とヘルペス脳炎が重症かつ後遺症のリスクあり
  • 髄膜刺激症状がなくても炎症値が上昇しており感染源の精査のために髄液検査を施行することがある
  • 髄液検査では初圧・終圧・性状など確認すること
  • たいていは対症療法で改善。原因菌によって抗生剤治療も併用

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