胸腔ドレーンの仕組みと観察|これさえ読めば分かる!

看護学生時代、胸腔ドレーンに関する問題って絶対に試験に出るけど、苦手意識はありませんでしたか?

救急部なら気胸、血胸、胸水貯留
呼吸器外科ならこの2つの疾患に加え、肺の術後管理などで胸腔ドレーン挿入患者の看護をすることがあります。

胸腔ドレーンの挿入介助と仕組みを理解し観察できるようになることを目標に解説していきます。

胸腔ドレーンの仕組み

ドレーンバックは3つの空間に分かれています。
メーカーによって配置は多少違いがありますが、仕組みは一緒です。

排液ボトル

患者の胸腔と接続しる場所で、血胸の時に胸腔内に貯留した血液がここに出てきます。排液量を確認する時間を決め、1日量をボトルに直接書き込み、推移を見ていきます。

排液ボトルが一番大きく、約2000ml程度まで確認できます。
排液を検査で提出したという時は排液ボトルにゴム製で出来た検体採取できる部分があるのでそこに針を刺して排液を提出します。

排液がドレーンバックいっぱいに溜まると交換が必要です。
チェストチューブとドレーンバックの接続を清潔に外し、新しいドレーンバックを清潔に装着し、再度タイガンでしっかりと固定します。

水封ボトル

青色の水の場所です。
胸腔内に溜まった空気はここで水の中に溶け込みます。
また水封管理(ウォーターシール)で経過観察する場合は水封部のどこまで蒸留水を入れるかによって陰圧の大きさが変わってきます。

水封ボトルの真ん中~上にかけて玉があると思いますが、
それは水封→排液への逆流を防止するための弁です。

絶対に覚えてほしい確認事項

Q:水封管理ではなく、持続吸引する場合は水封部に水を入れる必要はないの?

いいえ、必ず入れて下さい。

胸腔は陰圧になっています。
チューブを挿入し、水封部に蒸留水が入っていない状態でドレーンバックに接続した場合、ドレーンバック内の空気が胸腔に逆流し、肺は萎んでしまいます。

水封部に水を入れるのは、外界と遮断し胸腔内を陰圧に保つためなので、水封管理でも持続吸引管理でも必ず蒸留水を規定の位置(0って書いてあるところ)まで入れる必要があります。

ちなみに、ある病院では、水封部が空の状態で吸引を開始し、患者が頻呼吸になったオカレンスも発生しています。
ドレーン管理は生命に関わりますので要注意です。

吸引ボトル

黄色の水の場所です。
持続吸引の設定値まで蒸留水を入れます。だいたい-10㎝H₂O~-15㎝H₂Oになるはずです。
モーターを吸引ボトルの上部の接続部に装着し完了です。

胸腔ドレーンの管理で1番大切なこと

・ドレーンバックを倒さない
・ドレーンバックは胸部より下に位置すること

【バックを倒した場合】

水封部の水が移動して外気が胸腔に逆流し、肺虚脱や逆行性感染の危険性があります。
また、排液・吸引ボトルの水が水封部に流れ、適切な胸腔圧の維持管理が行えなくなる可能性があります。

ドレーンバックを倒してしまい水封部に影響が出た場合は、ただちにバックの交換が必要です。

【ドレーンバックの高さ】

刺入部よりもバックの位置が高い場合、排液が逆流し呼吸状態が悪化する可能性があります。
どんなドレーンもそうですが刺入部より低い位置で管理することが鉄則です。

胸腔ドレーン挿入中患者の観察項目

胸腔ドレーンならではの観察項目がいくつかあるので、詳しく解説をしていきます。

呼吸性変動の観察

【目的】 ドレーンが正しく胸腔内に位置しているか確認するため。

【方法】
吸ったり、吐いたりするときの水面やドレーン内の排液の動き=呼吸性変動

①患者さんに深呼吸を促す、もしくは会話をしましょう
(要は吸ったり吐いたりする行動なら何でも可です)
②水封部の水もしくはチューブ内の排液が前後に動いていればOKです。

【ポイント】

・良い位置に挿入されている場合は意識して呼吸をしてもらわなくても確認で
きます。

・圧吸引をしている場合は、吸引により水がぼこぼこしてるため呼吸性変動が
見えなくいです。呼吸性変動を確認するときは一度電源を切るか、手でクラ
 ンプして水封管理状態としてから確認しましょう。

エアリークの観察

【目的】 胸腔内に漏れた空気を肺の外へ逃がすことができているか

【方法】
①水封室の水の中に気泡ができるかどうか
②気泡を持続的に確認できればエアリークがあると判断します。ドレーン挿入
直後は気泡が多いです。
③呼気時のみに見られる場合は、穴が塞ぎかかっている治療の最終段階と判断
できます。

【ポイント】

・エアリークを認めない場合、完治しかけている証拠もしくは正しい位置に挿
入できていない可能性があります。エアリーク・呼吸性変動ともにない場合
は挿入位置に問題がある可能性が高いのですぐ医師へ報告を。

・排気目的のドレーン挿入しかエアリークは認めません。

水封部の水の量の観察

胸腔ドレーンは青色の空間で確認します。

既定の量まで蒸留水を入れることは上でも述べました。
ボトルの”0″もしくは”-10㎝H₂O”と書いてあるところが規定量になります。

なぜ、-10㎝H₂Oかと言うと

生理的胸腔内圧:5~8㎝H₂O
これ以上の圧で陰圧をかけないと肺は膨らないのです。
実際は、ドレーンバック【-2㎝H₂O】+水封管理【-10㎝H₂O】の合計-12㎝H₂O】で陰圧をかけています

排液量・排液の性状の観察

気胸の場合は排液はほぼないです。

血胸の場合は排液量と性状の変化が大切です。
血性から漿液性へ変化していき、1日あたりの排液量も減少していくのが正常な過程です。

【注意事項】

癌や肝臓の疾患を持っている患者で大量の胸水を引くときは、1度に1000~1500mlまでの排液に留めることが原則です。
1回で大量に排液をすると循環動態が崩れてショック状態になる可能性があります。

皮下気腫の観察

【方法】
握雪感と表現しますが、新雪を握りしめたようなギュギュとした感覚を触って確かめます。気胸になり胸腔内に空気が漏れ、皮下組織にまで及んだ状態です。空気なので軽いため、上の方に溜まりやすく、腋窩~頸部にかけて見られます。

【手順】

①手の平で抑えるように肌に直接触れましょう。患者さんは仰臥位で過ごす時間が長いため背部の方に空気が溜まっていることが多いので頸部~胸部~背部にかけて確認します。

皮下気腫があればマーキングしましょう。マーキングがどんどん広がった場合、ドレナージが有効にできていない可能性が高いので医師へ報告します。

*皮下気腫に痛みは伴いません

胸腔ドレーンの挿入時の看護師の介助方法

必要物品を用意しよう

気胸→8~20Fr
血胸・膿胸→20~28Fr

*排液の性状によって太さが決まります。膿胸の場合、膿性排液となるので細いチューブでは閉塞リスクが高いため気胸よりは太いチューブが適しています。

状態に応じたサイズを準備しましょう。

胸腔ドレーンの挿入手順

1.医師・看護師ともに滅菌ガウン、キャップ、手袋を装着します。
2.ワゴンの上に清潔野を展開する。滅菌シートの上に必要物品を清潔に取り出します。すぐに使えるように全て開封し、鑷子などで綺麗に並べる。

ドレーンバックの準備も行います。接続部は清潔を保持する必要があるので、この時は開封しません。
大切なことは水封部の基準線まで蒸留水を入れておくこと。
ウォーターシールか持続吸引か分からないですが、吸引ボトルに-10㎝H₂Oの位置まで蒸留水を入れて大丈夫です。

ドレーンバックは清潔野の上に置かなくても接続部さえ、滅菌が保てていれば問題ありません。

3.消毒→穴あきおいふの順番に医師へ渡す。(おいふをかけるときは処置から遠い部位であれば不潔になってもさほど問題はないので、上手くかけれなかった場合は端を持って調整しても良いです)

挿入位置:第4-5肋間・中窩腋線上
消毒はここを中心に大きくやります

4.医師へ注射器を渡し、キシロカインのキャップを開け、医師が注射器の先端を挿入したら、キシロカインの容器を逆さまに向け、少し押します。
すると、針なしで直接注射器に麻酔を補填できます。その後23針を渡して医師が装着し、患者に局所麻酔を行います。

5.皮膚を切開しドレーンを挿入する。
メス→ペアンの順に手渡します。(最初からペアンで切開し、中に進めていくときもあります)
「プシュー」という音がしたら、チェストチューブを渡します

6.挿入部を縫合し、ドレーンを固定する。

7.チェストドレーンバックに接続する。接続部は清潔に!

8.刺入部はドレッシング材で固定、チューブを2か所程度皮膚に固定。
消毒液で汚れているので、きれいに拭きとってから固定しましょう。
毎日刺入部の感染徴候の観察ができるように、ドレッシング材を貼ります。

チェストチューブは太く、患者さんがトイレなども自力で歩いて行くため固定が不十分だと抜去の可能性が高く大変危険です。
刺入部の固定に加え、その他2か所くらい皮膚に直接固定しましょう

*静脈ラインなど緩みを作るためにUの字で固定することが多いですが、チェストチューブはまっすぐの固定が基本です。チューブが太くてUの字にするのが大変かつ閉塞の原因になります。

9.水封管理or持続吸引か確認し、呼吸状態やドレーンの観察を行います。

*挿入中は呼吸状態の変化に注意しましょう

アスピレーションキットとトロッカーカテーテルの違い

必要物品には両方載せましたが、違いがあります。

気胸の時はアスピレーションキット、膿胸・血胸の場合はトロッカーカテーテルを使用する必要があり、使い分けることができます。

その違いと特徴を整理しましょう。

アスピレーションキットの仕組み

アスピレーションキットは挿入が容易で径が細いので患者の苦痛も少なく、一方弁という優れものです。
(画像参照元:日本コヴィディエン株式会社取り扱い説明書

【注意事項】

・クレンメ

構造をよく見ていただくと、一方弁なのになんでクレンメがついているの?って疑問に思った方、鋭いです!

一方弁であれば逆流することはないのですが、さらに安全を高めるためにクレンメも使っており、排液するときは念のためクレンメも閉じて管理した方が無難です。その際、排液が終わればクレンメを開放するのを忘れずに

・持続吸引する場合

実際はアスピレーションキットを挿入しても、持続吸引の胸腔ドレーンバックに接続することが多いです。
水封管理であればそのまま使用して問題ないですが、持続吸引を開始するときは、アスピレーションバルブごと一方弁を外す必要があります。

理由は、

①一方弁の影響で吸引圧が正常にかからなくなる可能性があること。
②一方弁が破損し、カテーテルそのものが閉塞すると緊張性気胸を引き越す可能性があること

です。

胸腔ドレーンの抜去の目安と必要物品

【目安】

・排液が漿液性へ変化
・1日の排液量100ml以下
・エアリークの消失

となります。

すぐに抜去するのではなく、クランプし1~2日経過を見ます。レントゲンでも肺の虚脱がないことを確認してから抜去になります。

胸腔ドレーンを抜去するときの必要物品

胸腔ドレーン抜去の手順と看護師の介助方法

  1. ドレーンと患者の皮膚の縫合糸を外す。滅菌のハサミを渡します。
  2. 糸が全部切れて、ドレーンを抜くときは患者に呼吸を止めるように説明します。(外気が肺に入らないようにするため)
  3. 切開部の縫合をします。
    (局所麻酔をする場合と2~3針の縫合なので不要と考える場合と医師によります。)
    局所麻酔をする場合は、胸腔ドレーン挿入介助で説明した方法で医師へ渡します。麻酔なしの場合は縫合セットを開封するだけでOKです。
  4. 縫合部にガーゼを当てる。胸部レントゲン撮影をし、終了。

これさえ読めば分かる!胸腔ドレーンまとめ

  • 水封・排液・吸引ボトルの3つに分かれている
  • 管理方法は水封管理もしくは持続吸引の2種類。どちらも肺に陰圧をかけて膨張させる方法で水封部には必ず蒸留水を入れる。
  • 胸腔ドレーン特有の観察項目、呼吸性変動、エアリーク、排液量と性状、皮下気腫。
  • 胸腔ドレーンを挿入するときの看護師の介助と必要物品を知っておこう
  • チェストチューブの太さは膿胸>血胸>気胸
  • アスピレーションキットとトロッカーカテーテルの違いを知っておこう。アスピレーションキットの場合、一方弁がついているが念のため排液を測定するときはクレンメも閉じた方がよい
  • 胸腔ドレーンを抜去する目安は排液量100ml/日以下、エアリークの消失。
  • 胸腔ドレーン抜去時の看護師の介助と必要物品を知っておこう

これであなたも胸腔ドレーンの看護が怖くないはずです!

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