ペースメーカー患者の看護~異常を見抜く心電図波形の観察~

循環器やICUでなくてもペースメーカ―を挿入している患者が入院することはあります。つまり、どの科の看護師もペースメーカーの基本的知識は知っておかないといけないということです!

ペースメーカーの基本を抑えた上で、今回のテーマである「異常ペーシング」について理解しましょう!

ペースメーカ―患者の看護の基本は観察すること

看護で1番重要なことは観察です

ただ見るのではなく、正常に作動しているか、問題はないかという視点を持って観察する必要があります。

【観察項目】

  • 自己脈やペーシングの有無
    自分の脈なのか、定期的にペーシングされているのか心電図で確認できます。スパイク波を見れば分かります。
  • 心拍数
    設定範囲内で心拍数がコントロールされていますか?
  • ペーシング不全
    電気刺激があるのに患者さんの心筋が反応しない状態で、心電図で確認できます。
  • センシング不全
    オーバーセンシング:自分の脈でないものまで感知してペーシングする
    アンダーセンシング:自分の脈を感知せず、電気刺激を与えてしまう
    ともに心電図で確認できます。

*異常の早期発見と医師への報告が重要です。

正常なペーシング時の心電図を理解する

まずは正しいペーシングの心電図を確認します。

心電図で確認する項目は

  • ペーシングの種類
  • スパイク波の有無
  • 自己脈の有無
  • 正しいリズムでP波・QRS波があるか
  • 下限レートを下回っていないか

です。この項目を意識して下の心電図の波形を確認してみます。

この心電図の波形から読み取れること

  • 心室ペーシング
  • 自己脈なし
  • スパイク波に続く幅広のQRS波は人工的な電気信号による心室収縮
  • スパイク波の間隔が5コマ=1秒=60回/分が下限心拍数

自己脈が全くないので完全ペーシングの波形です。
読み取れる内容から、規則的にスパイク波がありそれに続く形でQRS波を認め、心電図のリズムはコントロールされています。(健康な人のQRS波と比較すると幅広のQRS波なので、虚血では?と思いがちですがペースメーカーによる人工の電気信号の場合、幅広QRS波になるのが正常です)

これが正常なペーシングです!

ペースメーカーの異常波形は心電図の観察で分かる

異常ペーシングには、ペーシング不全センシング不全の2種類あります。
更に、センシング不全にはオーバーセンシングとアンダーセンシングの2通りあるので、理解しなければいけない異常ペーシングは3パターンです。

上で説明した正常なペーシング波形を基本とし、異常ペーシングを見抜いていきます。

ペーシング不全の心電図の見方

この心電図の波形から読み取れること

  • スパイク波の間隔が4コマ。つまり75回/分が下限心拍数。スパイク波は規則的で問題なし。
  • 心室ペーシング
  • QRS波がない?!

異常ポイント

  • スパイク波の後にQRS波がない
  • スパイク波の後に自己心室収縮があるが、時間がかかりすぎている

スパイク波があるので電気刺激はあるが、心室収縮がされていない状態です。
これは心室ペーシング不全になります。

本来であればオレンジの下↓の場所にQRS波が検出されるはずですが、波形が出ていません。心室へ電気信号が遮断されていて有効な心室の拍出が保てていない可能性があります。

心室ペーシング不全の原因と対処法

スパイク波はある、QRS波がない場合:リードの接触不良、出力不足
スパイク波もQRS波もない場合:リードの接触不良、リードの先端の位置が良くない

設定変更は専用器械で非侵襲性にできますがリードの問題であれば、本体からリードを取り外す必要があるので局所麻酔による処置が必要になります。

オーバーセンシングの心電図波形の見方

この心電図の波形から読み取れること

  • VVIモード
  • 下限レートは1秒毎=60回/分
  • ペーシングと自己脈が混ざっている
  • 4拍目がない?!

異常ポイント

  • 4拍目にスパイク波からのQRS波があるはずなのにQRS波が出ていない。恐らく、3泊目のT波をQRS波を間違って感知してしまい、自己脈があると勘違いした。

3~4拍目の間隔が空いていることとすぐに気づくと思います。
間違って感知をして電気信号を送らない現象をオーバーセンシングと言います

オーバーセンシングの原因と対処法

感度が高いことが原因なので設定を下げれば解決するでしょう。

アンダーセンシングの心電図波形の見方

心電図の波形から読み取れること

  • VVIモード
  • 下限レートは0.8秒毎(75回/分)設定
  • 自己脈とペーシング波形が混ざっている
  • 自己脈よりも後ろにスパイク波がある?!

異常ポイント

  • 自己心拍があることがセンシングされず、電気刺激を0.8秒毎に送っている

0.8秒毎にスパイク波が検出されており、スパイク波の後に幅の広いQRS波を認めており、人工的に電気信号を送り心室収縮がされているのでペースメーカー本体の故障はなさそうです。
しかし、3・4拍目の波形に注目すると、自己心拍の後ろにスパイク波があります。
自己脈を感知せず電気信号を送ってしまう現象をアンダーセンシングと言います。

アンダーセンシングの原因と対処法

感度が低いことが原因なので感度の設定を上げれば解決します。

設定確認の必需品はペースメーカー手帳

心電図の波形から、挿入しているペースメーカーのモードや最低心拍数の設定は読み取ることができますが、種類、設定確認日時など詳細を知るにはペースメーカー手帳が欠かせません。

ペースメーカ―を挿入している患者さんが必ずこの手帳を持っています。

この手帳にはペースメーカ―の挿入日時、外来での経過記録、設定など全てが記載されていて大変重要な情報になるの入院した時は、真っ先に手帳の記載内容を確認してください!

(引用元:http://www.pacemaker-navi.jp/life/index03.html)

【確認項目】

  • 直近の作動確認の日付
  • モード
  • 設定レート
  • 感度(ペースメーカーが自分の脈を感知する力)
  • 出力(ペーシングの出力電力)

この確認の時に重要なのは、直近の作動確認の日付けです。
一般的に3~6か月毎、ペースメーカ―外来で本体の作動、電池の消耗具合などを確認していますが、体調不良で検査に行けていないことや入院日時と重なってしまうこともあるので、最後の確認がいつなのか、忘れずチェックが必要です。

入院中、手帳は看護師管理が安心です!
急な検査の場合、その検査対応かどうか(特にMRIで確認が必要です)判断するときに使います。

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