ペースメーカー植え込み術と心電図の読み取り方

ペースメーカの適応となる不整脈やペースメーカーの役割・モードの種類などは

ペースメーカーの基本。心臓の電気信号とペースメーカーの関連を考える!

で確認してください!

今回はペースメーカー植え込み手術とその後の経過、電池交換、看護ケアについて解説していきます。

救急部、循環器、心臓外科の看護師はペースメーカー植え込み術の知識は必要です。また、他の科の看護師もペースメーカー挿入患者を担当する可能性があり、基本知識である耐久性などは知っておいた方が良いでしょう!

ペースメーカーの植え込み術とは

通常、ペースメーカー植え込み術は、手術室または心臓カテーテル検査室で、局所麻酔で実施されます。
一般的には前胸部に植え込まれます。左右のいずれかの鎖骨皮膚下にペースメーカーを挿入するための空間を作ります。

創部は左写真のような5㎝程度になります。

そして、鎖骨下静脈または腋窩静脈からペースメーカー本体と心臓の電気信号を繋いでくれるリード線を挿入します。

シングルチャンバーペースメーカーの場合は右心房または右心室のいずれか一方にリード線を留置し、デュアルチャンバーペースメーカー(DDDモード対象)の場合は右心房・右心室それぞれにリード線を留置します。

リード線の位置によって心臓に正しく電気信号が届くかが決まりますのでX線透視と心臓の電気情報をもとにリード線を適切な場所へ調整し、心収縮のタイミングのずれを補正します。

リードの位置が決まったら、ペースメーカーとリード線を接続し、鎖骨下の皮内の空間に収め、皮膚を縫合すれば手術終了です。

手術時間は約1~2時間。局所麻酔なのでもちろん患者の意識はあります。

*例外として
小児患者や心臓手術の既往がある患者の場合は、心臓の表面に心筋電極を直接固定してペーシング・センシングさせます。そのためペースメーカー本体は鎖骨下ではなく、腹部の皮下に留置します。

ペースメーカー植え込み術の合併症

局所麻酔かつ短時間の手術ですが心臓へアプローチするので低いですが合併症のリスクはあります。

術中の合併症

  • 血胸
    静脈を切開しリード線を挿入する時に、まれに静脈・動脈を穿刺してしまうと出血し、胸腔内に血液が貯留します。
  • 気胸
    血胸と同様に、静脈を切開しリード線を挿入するときに肺を穿刺してまう可能性があり、刺した箇所から空気が漏れ、胸腔内に貯留します。
  • リード穿孔
    静脈内にリード線を進めるときに静脈血管壁または心臓の壁を貫通する可能性があります。心臓壁を貫通した場合は外科手術が必要になります。
  • 心房細動・心停止
    致死的不整脈のためペースメーカーを挿入するわけなので、手術中も不整脈が起こる可能性はあります。そのため術中にAF、心停止のリスクはもちろんあり、DCや必要に応じてPCPSを回し循環を維持することがあります。

術後の合併症

  • 創部感染
    術後合併症で最もリスクが高く重篤になる可能性があります
    ペースメーカーの本体やリードに細菌が付着して感染症がおこると内科的治療は困難で、多くの場合本体やリードを交換する再手術となります。
    本体のみの交換は皮膚切開だけなのでさほど難しくありませんが、リード交換はしばしば外科手術を必要とし、生命に関わる可能性もあります。頻度としては0.5~2%と言われています。
  • リード線トラブル(移動・離脱・損傷・断線など)
    そもそもリード線の先端は抜ける・動くなどトラブルがないよう組織に絡みつきやすい形状をしていますが、まれに術後にリード線の先端が心臓内の組織から抜け落ちたり、動く場合もあります。また、術後月日が経ってからリード線に大きな負担がかかると損傷や断線のリスクもあります。
  • 血栓症
    ペースメーカー挿入術後に脳梗塞や肺梗塞の危険がわずかに上昇すると言われています。発症した場合は抗凝固・抗血栓薬の内服を開始しますが予防的な介入は出血リスクが怖いのでしません。
  • 上肢浮腫
    リードを入れた静脈の狭窄や閉塞により、まれですが上腕の浮腫を生じますが経時的に軽減されるので治療は不要です。
  • 出血や血種
    皮膚を切開しているので可能性はありますが、出血量はわずかで問題ないことが多いです。

ペースメーカー植え込み術後の管理

術後翌日から離床開始。
術後約3日間は、激しい腕の動きは禁止。
術後7日、レントゲン検査でペースメーカーリードの先端部の確認、ペースメーカー本体の機能、リード機能の検査を行います。本体の機能の確認は専用の機械を皮膚の上から当てて、検査できる簡易なものです。

この検査も問題なく、創部感染もなければ入浴可能となり7~9日で退院となります。

ペースメーカー挿入患者の定期検査

退院後は3~6か月毎ペースメーカー専用外来で電池の残量や電線のチェックを行います。

ペースメーカーは電池で動いており寿命は5~7年です。永久的に同じ本体を使えるわけではないので、定期検査で交換の時期を確認する必要があります。

万が一ペースメーカーに不具合が生じた場合や月日が経ち電池消耗が多くなった時点でジェネレーターの交換が必要になります。

ジェネレーター交換術

鎖骨下に留置されているペースメーカー本体を取り出します。
リードを本体から外し、まだ使用できるか、交換が必要か判断します。
使用可能な場合は、本体からリード線だけを取り外し、新しい本体を接続すれば完了です。
手術時間は約1時間程度、術後は3時間安静となります。
1週間後に抜糸と作動確認をし問題なければ、退院し、通常の外来フォローとなります。

リード線の交換が必要な場合は、再度植え込み術を施行することになるので上記で説明した通りです。

ペースメーカー挿入患者の日常生活の注意点

基本的に磁気を発生させるものにペースメーカー本体を近づけないということが鉄則です。上の表はほんの一例に過ぎず、他にも農機やデパートの入り口などの不快音を発生させる装置なども対象にはなりますが、限られた環境なので割愛しています。

中でも最も心配で患者さんから質問が多いのは携帯電話と車の自動ロックです。

携帯電話はペースメーカー本体から離して使えばOKです。
つまり、左前胸部に留置している人は右耳で電話すれば問題ありません。

車の鍵も同様にペースメーカー本体から離して使えば影響はないので、腕を伸ばした状態で作動させる方法を取れば問題ありません。

ペースメーカー挿入患者の心電図を理解しよう

ペースメーカーの種類さえ把握していれば、心電図の読み取りは難しくありません。

心電図を見ればペースメーカーのモード、設定下限レートなど最低限のことは確認することができます!

ペースメーカーの心電図の読み取り方

  • スパイク波があるか、P波の前?QRS波の前?
  • 自己のP・QRS波はあるか?(心房・心室の電気信号が自発的かどうか)
    あればその間隔は?
  • 心房収縮があったとき、QRS波が続いているか?続かない場合、何秒遅れでスパイク波があるか?
  • スパイク波の間隔は?
  • 自己脈があったときに、ペーシングは抑制されているか?
  • 心房・心室収縮は同期できているか?

を順番に確認していくと、見えてきます!

練習問題①

正確に確認するために12誘導心電図で見ます。

①スパイク波が幅広のQRS波の前に検出されている
②自己P波を約1秒毎に認める。
③P波からQRS波に続かず、P波からスパイク波まで0.24秒秒遅れでQRS波を認める。
④スパイク波の感覚が約5コマ=1秒毎

①~③で概ね、ペースメーカーのモード、④から下限レートが予想できます。

①よりQRS波の前にスパイク波(電気信号)を認めているのでペーシングは心室(Vです。
②より自己P波が定期的にあるのに自己QRS波は認めていません。よってP波・QRS波ともに感知していると考えられ、センシングは心房・心室両方(D)です。
③心房収縮を感知し心室ペーシングをしているため同期していることは明らかです。残念ながらこの心電図では自己脈が検知された部分がないので抑制されるかの確認ができませんが、現在単独で同期モードを使用することはなく、自己QRS波がP波に続いて検出されれば人工的な電気信号は不要だと考えられるので作動様式は両方(D)になります。つまりVDDです。

④約1秒毎にスパイク波を検出しているということはつまり60回/分が下限心拍数となります。

練習問題②

①スパイク波が2本ある
②スパイク波の後にP波
③スパイク波の後にQRS波
④スパイク間隔が約5コマ=1秒毎

①~③でモードの予測、④で下限レートが分かります。

①スパイク波が2本ある時点で心房・心室両方(D)ペーシングしています。
②③より自己P波・QRS波ともに認めない状態なので心房・心室両方(D)にで感知していることが分かります。また例題①と同じく自己脈が検知された場合に抑制されるかは残念ながら評価できませんが、心房に対し心室収縮が同期していることは明らかで、同期モードだけというのはないので作動様式は(D)になります。つまり、DDDです。

④より1秒毎に心房も心室もペーシングされているので60回/分が下限心拍数になります。

*例題①と②の違いは心房ペーシングがあるかどうかです。

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