小林麻央さん、北斗昌さん、南果歩さん、さくらももこさんと
有名人でも乳がん患者は多く、女性なら誰もが心配する病気の1つになっている気がします。
北斗昌さん、南果歩さんのように治療を受け、芸能活動に復帰されている人もいる一方で小林麻央さん、さくらももこさんのように残念ながら闘病の末、命を落とした方もいます。
乳がんは早期発見・治療すれば生存率の高い癌だと言われているのですが、気づきにくい、リンパが近くて転移しやすい癌なのです。
最近、乳がんのマンモグラフィーの診断にAIの導入を検討しているニュースがありました!現在もHOTな話題である乳がんについて紹介します。
乳がんは
乳房の断面図です。
乳腺は15~20の乳腺葉で構成され、母乳を作る小葉と母乳を運ぶ乳管とに分かれます。
乳がんは乳房の中の乳腺にできる悪性腫瘍です。
乳がんの95%が乳管の上皮細胞にできる
「乳管がん」
残りの5%が「小葉がん」です。
乳がんの進行度判定
Ⅰ~Ⅱ期は非浸潤がんと言い、がん細胞が乳管や小葉内にとどまっている状態です。
Ⅲ~Ⅳ期は浸潤がんと言い、がん細胞が増殖し、乳管や小葉の外に広がった状態です。
乳がん5年生存率
I・Ⅱ期の早期発見ができれば、5年生存率は高いですが
Ⅲ期以降になると半数以下になってしまいます。
乳がんはいかに早期発見・治療が重要かということが分かりますね!
乳がんになりやすい人
乳がんの原因は現在も研究中です。
しかし、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが深く関係しているのではないかと言われています。
- ● 初潮が早い
● 閉経が遅い
● 妊娠・出産の経験が無い
● 初産年齢が遅い
● 授乳をしていないあるいは授乳期間が短い
これに該当する人は
・体内のエストロゲン濃度が高い人
・エストロゲン濃度が維持されている期間が長い人
が乳がんになる確立が高いと言われています。
乳がんの症状
初期は自覚症状はないです。
進行していくと
・乳房のしこり
・乳頭や乳輪に湿疹やただれ
・乳頭から血の混じったような分泌物
・乳房にえくぼのようなへこみ
*乳がんのしこりの特徴は硬く・動かないこと
進行しリンパ節に転移をした場合
・脇の下が腫れる
・脇の下にしこりができる
・手がしびれる
と言った症状がでます。
乳房から脇の下のリンパまで近いため、転移しやすい特徴があります。
またリンパへ転移した場合、全身へ転移する可能性が高くなり、肺、骨、肝臓、脳などへ転移する可能性があります。
データで見る乳がんの怖さ
実は、乳がんが罹患率・死亡率ともに増加しています。
生涯で乳がんにかかる可能性:女性の11人に1人(約9%)
日本の死亡数が多い癌
1位 大腸
2位 肺
3位 膵臓
4位 胃
5位 乳房
癌全体で見ると60代以降になると死亡リスクが高くなりますが、
乳がんは30~40代で発症し、40代以降~死亡数が増える若い癌です。
日本女性で罹患数が多い癌
1位 乳房
2位 大腸
3位 胃
4位 肺
5位 子宮
女性の癌の中でも乳がんは身近であることが分かります。
乳がん検査
視触診
乳房や脇の下に外見上かつしこりなどの異常がないか確認する診察です。
異常というのは、凹みや一部ふくらみがある、乳頭周囲のただれや異常分泌物など。
マンモグラフィー
乳房のレントゲン検査です。
透明の板で乳房を挟み、圧迫しながら撮影します。
触診では見つからない乳がんの初期症状である「石灰化」を早期に見つけることができます。
両方の乳房の比較、過去の比較により、一層診断が有効になるので毎年受けることが大切です。
自治体によっては40代以上の女性を対象に年1回のマンモグラフィー検査を無料ないしは一部補助で実施しているところもあるので、住んでいる地域で確認してみて下さい!
検査をお勧めできない人
・妊娠の可能性がある人
・妊娠中の人
・授乳中の人
・生理前~中で乳房に張りがある場合
放射能は低い検査ではありますが、妊娠中の方は胎児への影響を考慮し避けた方が良いです。
授乳中の方は乳腺濃度が高い状態で、せっかく検査を受けても画像で確認できない可能性があるので、おすすめできません。
*「乳腺濃度が高い」は日本人の乳がんのキーワードになる重要ワードです。
生理前~中は検査を受けることはできますが、張っている状態で検査を受けると通常よりも痛みを感じる可能性があるので、この時期は避けた方が良いでしょう。
超音波検査
乳房に直接、器械を当てて超音波が跳ね返ってくる様子を画像化し、異常を見つけます。
先ほどの乳腺濃度が濃い場合でも、異常が発見しやすいという特徴があり、若い世代や妊娠中・授乳中の方でも受けることができます。
マンモグラフィーと超音波検査の比較
どちらもメリット・デメリットがありますので、医師へ相談して決めても良いでしょう!
乳がんの診断
細胞診
乳房のしこりや分泌物など細胞の一部を採取してがん細胞かどうか、顕微鏡で調べる検査です。
3種類あります。
・穿刺吸引細胞診:しこりに直接細い針を刺して、注射器で吸引する方法
・分泌液細胞診:乳頭からの分泌物があれば、それを採取する
・擦過細胞診:乳頭にただれがある場合、へらでこすって採取する
短い時間で痛みもわずかであり、麻酔なしで実施します。
組織診
細胞診よりも太い針を使って、広範囲に組織を採取して顕微鏡で調べます。
採取する細胞の数が細胞診よりも多いので確実な診断ができます。
さらに、癌かどうかの診断だけでなく、がんの悪性度やホルモン感受性なども判定ができるので有効な治療を検討する材料にもなります。
3種類あります。
・針生検
太さ約2㎜の針で超音波でしこりの位置を確認しながら組織を採取
・吸引式針生検
太さ4㎜の張りでマンモグラフィーや超音波でしこりの位置を確認しながら採取する
・外科的生検
針生検でも診断が難しい場合は、メスでより組織の一部を切り取って採取する
侵襲度と言い、患者さんの負担や苦痛は外科的生検が一番強いです。
どの検査も痛みを伴うので局所麻酔で実施します。
癌の大きさを調べる
・MRIやCT
画像検査です。乳房内の癌の大きさや広がりを調べ、切除する範囲や治療方法を検討します。
癌の転移を疑う場合
・骨シンチグラフィ検査やPET検査
乳がんは転移しやすい癌であるため、全身調べます
乳がん治療
外科治療
・乳房部分切除(乳房を温存できる)
・乳房全的術(乳房を全部切除する)
+リンパ節郭清(内胸部や脇の下のリンパ節も切除する)
が一般的です。
部分切除ないしは全摘術かは、乳がんの進行度によって判断します。
リンパ節郭清はリンパ節に転移がある・疑う場合は同時に実施します。
乳がんは若い癌で見た目が心配ですよね。
現在は、乳房再建術の技術が素晴らしく進化しています。
乳房切除術と同時に行うことも可能になってきており、自分の身体の組織(腹部・背部)または人工物(シリコン)を使って、乳房を作り直す技術が上がっています。
*人工物の場合は手術を2度受ける必要があります。
薬物治療(抗がん剤やホルモン治療)
乳がんのステージに合わせて、術前術後に抗がん剤治療を投与します。
術前投与の目的は癌細胞が小さくなれば切除部位が小さくて済みます。
術後投与の目的は手術で切除できなかった癌細胞を殺したり、ホルモンバランスを整えることです。
放射線治療
術後に癌細胞が残っている場合に放射線を照射します。
高濃度乳腺って知っていますか?
若年者、授乳中の人は乳腺濃度が高いからマンモグラフィー検査を受けても正確に診断できない可能性があると言いましたが、
50歳以下の日本人女性の8割が高濃度乳腺と言われいます。
英語では【デンスブレスト】と呼び、欧米では広く周知されています。
正確に言うと、日本人というよりアジア人に多いらしいのですが、デンスブレストが多いはずのアジア系ではこの単語を知らない人が多いのです。
乳腺濃度が高いと、レントゲンでは乳房が真っ白に写ります。
乳がんのしこりも白く写るので同化して診断ができないのです。
ただし、石灰化も白く写りますが濃さは違うので有効です。
つまり、高濃度乳腺の人はマンモグラフィーよりも超音波検査を併用した方が有効な検査ができます!
50代以降になれば、高濃度乳腺も脂肪に変化しますのでマンモグラフィー検査だけでも有効です。
AI導入で改革?!
Google系列の企業と東京慈恵医大病院が連携し、高濃度乳腺の方でも画像診断で早期乳がんを発見できるよう、AIを導入する計画が始まるそうです。
2018年10月4日のYahooニュースで紹介されていました。
乳がんだけでなく、きっと、どんな癌でも診断にAIが有効になってくるのではないかなと期待しています!
まとめ
・乳がんは早期発見・治療で改善できる癌
・リンパ節に近く転移しやすい特徴がある
・40代以降、死亡率が上がる
・近年、患者罹患数・死亡率ともに上がっている
・検査には視触診、マンモグラフィー、超音波検査があり年齢や受ける時期に
より選択が必要
・診断には生検が有効
・外科手術の後、乳房を再建する技術はかなり進歩している
・日本人に多い高濃度乳腺
・乳がんの早期発見にAIを導入
有名人のニュースにより、世間で改めて注目されている乳がんです。
どんな癌でも病気でも早期発見・治療が有効ですが、子宮頸がんと合わせて若年性で癌を発症するところにより怖さがあります。
ぜひ検査へ!行って下さい。
コメント