高齢者の長生きの秘訣「転ばない」こと!大腿骨の骨折は寝たきりリスクが大きい

一般知識

高齢になって1番気を付けてほしいことは「転倒」です。

子どもがこけるときは、手で身体を支えようとしますが、高齢者は体の反応が鈍くなってくるので、手が出ずに尻もちをつくようなこけ方になるのです。

そんな状態でこけると高確率で「大腿骨頸部・大転子部骨折」になります。

たかが、骨折でしょ?と思うかも知れませんが、骨折がきかっけで亡くなることがあるのです。

転倒→骨折→長期入院(手術・リハビリ)→寝たきり→(死亡)

こういう負の連鎖があり得ます。

本当に怖い、高齢者の骨折を説明します。

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大腿骨近位部骨折とは

これは、足の付け根の骨の骨折で、折れた場所によって

大腿骨頸部骨折と大腿骨転子部骨折と言い方が違います。

90%の人が転倒がきっかけてこれらの骨折を招き、年間15万人以上の高齢者が受傷しています。

筋力が弱く、骨密度の低い女性の方が骨折しやすいです。

そして、注目してほしいのは骨折になった10%の人が寝たきりになってしまっていることです。

高齢者の寝たきりは社会問題とも言えるでしょう。

治療法

ギプスを巻いて固定すればいいんじゃない?って簡単に思うかも知れませんが、大腿骨近位部骨折は保存治療では歩けるようになりません。

手術をするのが一般的で、今では90代でも骨折前に自力で歩けていた人には手術を勧めるようになってきています。

大腿骨頸部骨折の手術

「人工骨頭置換術」が一般的な手術です。

(出典元:ナースフルより)

足が色んな向きに動かすことができるのは骨頭と呼ばれる円形の骨がはまっており、自由度が高い作りになっているからです。

その円形の骨の首の部分が「頸部」であり、細く、もろいのが特徴です。

大腿骨頸部骨折の場合は、骨頭と呼ばれる円形の部分を金属でできた骨の代わりとなるような人工物に入れ替えて、本来の足の動きを再現できるようにするのです。

頸部骨折を正しい位置に戻し、金属などで固定したとしても骨頭への血流が乏しくなる可能性が高く、壊死に至るリスクがあります。

手術は全身麻酔で1~2時間くらいです。

大腿骨転子部骨折の手術

「観血的整復内固定術」という方法が一般的です。

(出典元:ナースフルより)

転子部は骨頭からも離れた位置にありますし、非常に骨がくっつきやすい部位なので、人工物に入れ替えるのではなく、ずれた骨をできるだけ元の形状に近づけて、金属で固定する方法をとります。

自分の骨の強度が大変重要になってくるので、骨粗鬆症がひどい場合は金属でできた釘を打つときに骨がまけてしまい、固定できません。

なので手術をするときは骨の強度が大変重要になりますが、一般的には金属製の器具で固定した場合、多くは問題なく骨が元の位置に近づくことが多いです。

手術は全身麻酔で1~2時間です

リハビリテーション

寝たきりにならないためには、リハビリにかかっています。

一般的なリハビリスケジュールは

①ベッドの端で足を下ろし、座れるか
②車椅子へ移る
③立つことができ、立位を保持できるか
④平行棒の間で歩行訓練
⑤歩行器を押しながらの歩行訓練
⑥(松葉杖を使って歩行訓練)
⑦T字杖を使って歩行訓練

のように進めます。

歩く練習と並行して、骨折部の関節を動かす練習や筋力トレーニングも行います。
松葉杖の訓練は高齢者によっては危険を伴うことがあるので、手引き歩行に変えたり、松葉づえは飛ばして杖歩行の練習に進むことが多いです。

手術を受ける急性期の病院でリハビリを開始します。
手術をした箇所の経過が良く、リハビリだけとなれば、リハビリ病院へ転院する流れになります。

急性期の病院は2週間程度、リハビリに数か月かかるでしょう。

実際は、受傷前に一人で外出できるくらい歩行能力に問題なかった人でも約50%の人しか、元通りの力まで回復できません。

それくらい、ご高齢で骨折するというのは、その人の能力を奪ってしまうことなのです。

骨折が寝たきりの原因に

骨折・転倒が寝たきりになるのは

・手術を受けることができない
・入院生活により筋力が低下し、リハビリが進まない
・リハビリで成果がでない

など、動かさない・動かせないことによる衰えが原因となります。

そして、近年骨折による寝たきり患者が増加しており社会問題の1つになっています。

骨折後の死亡率

欧米:11~35%
日本:約10%

死亡率が高くなる人の特徴は

・入院期間が長い
・受傷前の歩行能力が低い
・認知症がある
・心疾患がある

など、受傷前の身体的状態が大きく影響してきます。

死に至る原因

「肺炎」です。

もちろん、手術を受ける前に呼吸や心臓の機能を確認し手術に耐えることができる身体かどうかの判断をしてから手術を実施します。

従って、手術中に亡くなることは大変少ないです。

しかし、全身麻酔の手術は自分で呼吸ができなくなるので、手術中、人工呼吸器と言って喉に管を入れ、肺の動きを器械が再現して呼吸を維持します。

手術中の点滴量も多く、喉に異物を入れることにより痰も増えます。

普段なら吐き出すことができても、喉の違和感や骨折の痛みにより吐き出す力が弱くなってしまい、結果的に術後は肺炎になりやすくなります。

そして、低酸素状態や呼吸状態の悪化、感染が全身へ回りショック状態になるなど、命とりになります。

 

また、骨折の手術の後に寝たきりになった場合も死亡原因の第1位は「肺炎」です。

寝たきりということは体力が落ちます。人間は使わなくなるとすぐに機能が落ちてしまうので、普通に呼吸をするだけでも誤嚥と言って肺に唾液が落ちてしまったり、菌にも感染しやすくなり、肺炎になるのです。

まとめ

・高齢者に多いのは大腿骨近位部骨折
・転倒が原因
・骨折の治療は手術しかない
・長期間のリハビリが必要
・骨折と転倒が寝たきり原因の第3位、骨折した約10%が寝たきりへ
・骨折の死亡原因第1位は肺炎

骨折すると、手術と入院生活により身体が受けるダメージが大きく、能力を著しく低下させます。

その結果、寝たきりや死に至るという最悪のケースになるのです。

高齢者が長生きする秘訣は入院しないこと。つまり、転倒しないことです!

絶対にこけない!をモットーに長生きしてください。

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コメント

  1. […] 寝たきりの恐怖について、医療関係者以外の方向けにも記事を書いていますで興味がある人はぜひ参考にしてください。 […]

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