アンコールワットが建築され、半世紀遅れでアンコールトムの建設が始まりました。
そしてアンコールトムの中心に位置するのがバイヨン寺院でアンコールワットと同じくらい人気の観光地です。
アンコールワットとアンコールトムを比較しながら観光すると面白いですよ!
アンコールトムについて
カンボジア語で
アンコール=都市
トム=大きな町
という意味です。
高さ8m、周囲12㎞のラテライトの城壁に囲まれた巨大都市です。
城壁内には十字に主要道路が通っており、その中央にバイヨン寺院があります。
バイヨン寺院の北部にかつては王宮があったそうだが、木造建築であったため現在は消失し、痕跡は残っていません。
アンコールトムとバイヨン寺院のよくある間違い
カンボジア旅行へ行った日本人がよく
「アンコールトムとバイヨン寺院へ行った!」
と言いますが、実際にツアーなどで訪れているのはバイヨン寺院です。
バイヨン寺院とアンコールトムを別で捉えている人が多いと思いますが、アンコールトムという敷地の中にあるバイヨン寺院というのが正解です。
実際にアンコールトム全部を観光するのは、1日がかりになります。
カンボジアのツアーコンダクターの方はアンコールトムとバイヨン寺院を違うものとして考えて質問する人が多いと言っていました。
アンコールトムとバイヨン寺院の位置関係、理解してください。
バイヨン寺院の紹介
12世紀末に建設された、穏やかな微笑みの四面仏の観世音菩薩のモチーフで有名な寺院です。
バイヨン寺院の基本情報
アクセス:オールドマーケットから車で20分
見学時間:1時間
ベストタイム:午前中(バイヨン寺院は屋根がないため午前中の涼しい時間に観光した方が良いです)
服装:影がなく暑いです。涼しい格好で行きましょう。
遺跡は足場が悪く、階段も多いのでスニーカー・ズボンが良いです。
食事:バイヨンの北側に食堂が十数軒あり
トイレ:西側に簡易トイレがあり、あまりきれいではないです。ティッシュは持参した方が良いでしょう。
写真撮影ポイント
1番優しい仏の顔と言われているここが人気撮影ポイントです。
常に写真を撮るために行列になっているので、すぐに分かると思います。
バイヨン寺院に秘められた宇宙観~アンコールワットとの違い~
バイヨン寺院はメール山(須弥山)を象徴したものらしいです。
古代インドではメール山は神々の住む、降臨する神聖な場所でした。
この宇宙観を正確に具現化することが当時の王朝の指名であったため、王都アンコールトムの中心部に表現したと言われています。
バイヨン寺院から東西南北へ延びる幹線道路はメール山から世界へ向かう道を象徴し、城壁はヒマラヤの霊峰、城壁周囲の環濠は大海をイメージさせます。
アンコールワットと大きく異なるのは、宗教観です。
アンコールワットはヒンドゥー教から始まりました。
一方でバイヨン寺院は古代インドの影響を受けているのでヒンドゥー教も信仰していたことは明確ですが、四面仏から分かる通り、大乗仏教に深く帰依していたと言われています。
つまりヒンドゥー教と仏教の融合です。
この宇宙観の違いがアンコールワットとアンコールトムの大きな違いになります。
バイヨンの回廊の見どころ
バイヨン寺院の回廊には12世紀の歴史、文化、生活が多数描かれおり、1枚の絵巻のようになっています。
レリーフにもアンコールワットとアンコールトムの違いがあります。
彫刻で表現されていたものが異なります。
ぜひ、この違いを見て、感じて下さい!
第一回廊
東西約160m、南北140mの第一回廊の城壁には12世紀のチャンバ軍との戦争と兵士の戦闘を支えた人々の生活模様が描かれています。
東西南北で描かれているものが異なる点も魅力の1つです。
【東面】
クメール群とチャンバ軍の決戦前夜。
戦地に赴くクメール人の行軍を中心に描かれており、戦勝祈願の生贄の儀式を当時はしていたことが分かります。
【南面】
クメール軍とチャンパ軍のトンレサップ湖での戦闘の様子と庶民の生活が描かれています。
【西面】
未完成の壁画が多いです。
戦闘訓練や王宮で将棋を指す様子など描かれています。
【北面】
レスリング、王様に曲芸を披露する一場面、身づくろいをしている女性など当時の宮廷内のそれぞれの様子が描かれています。
第二回廊
北面:シヴァ神
西面:ヴィシュヌ神
南面:仏教エリア
東面:王家エリア
が描かれており、ここでもヒンドゥー教と仏教が混在していたことが分かります。
第二回廊は屋根が残っていない箇所が多く、レリーフに傷みが激しいです。
比較的きれいに残っているのは西面のヴィシュヌ神に捧げものをする人の壁画で、アプサラというクメール文化の伝統舞踊の様子も描かれています。
アンコールトム遺跡群の紹介
せっかく訪れたので、バイヨン寺院だけでは物足りないという人もいると思います。そんな方のために、アンコールトム遺跡群全体の見どころも紹介します!
バプーオン
バイヨン寺院の北西部
11世紀中ごろに創建された3層からなる高さ50mのピラミッド寺院。
ヒンドゥー教のシヴァ派を信仰
見学時間:30分
バプーオン=隠し子
という意味で、「隠し子伝説」が残っています。
【隠し子伝説】
昔、タイの王とカンボジアの王は兄弟でした。
ある時、タイの王が自分子どもをカンボジア王へ預けることになり、カンボジア王は喜んで引き受けましたが、家臣が「将来タイの王にカンボジアを奪われてしまうのではないか」と疑い、タイの王子を殺してしまったのです。
タイの王は怒り、カンボジアを攻め戦いが始まり、カンボジアの王妃は自分の子どもが報復を受け殺害されることをおそれ、この寺院に隠したと言われています。
そのため、この寺院はバプーオン(隠し子)と名付けられたそうです。
像のテラス
王宮前に位置し、バプーオンと一体化するように造られ350mの城壁です。
中央の階段には蓮の花をつかむ、象が3頭描かれて、城壁にはガルーダや象の上告が多数ある。
【テラス内部の名彫刻】
3つの頭を持つ像の柱の後部に小部屋があり、5つの頭を持つ馬、象の鼻で遊ぶ子供、王の馬など保存状態の良い彫刻があり、見どころです。
ライ王のテラス
高さ約6mのテラスの内部には神々と阿修羅が一緒に描かれている。
12世紀末に完成したと言われているが、実は12世紀以前にすでにテラスの原型があり、その上に建築されたということが明らかになった。
最初にできた彫刻と後から掘られたものでは表情が異なるようで、その違いを楽しむことができる場所です。
三島由紀夫の「癩王のテラス」のモチーフはここです!
ピミアナカス
天空の宮殿という意味のピラミッド型のヒンドゥー教寺院です。
11世紀の初頭に創設されました。
見学時間:30分
この遺跡は損傷が激しく、内部への立ち入りは禁止されています。
【ピミアナカスの伝説】
塔の中にはナーギー神(9つの頭を持った蛇)が宿っていた。
毎晩、美しい女性へと姿を変え王の前に現れ、王は妻と寝る前にまず彼女と交わる日々でした。
その理由は、一夜でもこの行為を怠ったら王は早死にすると信じていたからです。
ここは王の家族ですら、立ち入ることはできず、王だけが毎晩通う秘密の場所だったと言われています。
アンコールトムの中のバイヨン寺院のまとめ
・ツアーはバイヨン寺院のみ
・アンコールワットとアンコールトムの違いを楽しむ
・アンコール遺跡群全体を観光するなら1日かかる
アンコールトムの方が壮大で、彫刻も細かく見ごたえがあります。
通路にもそれぞれ意味があり、興味深い寺院です!
ヒンドゥー教の神話が色んな所で表現されているので、ヒンドゥー教について事前に学習していけばもっと楽しめた…と少し心残りでした。
ぜひ今からカンボジアへ旅行に行かれる人はヒンドゥー教の神々について知識を持っておくと、より一層アンコールトムなどの観光が充実しますよ!
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