胆嚢炎・胆管炎の治療|ERCPとドレーン管理

消化器

消化器疾患の中でも、救急では急性胆嚢炎・胆管炎は夜勤で1回は見かけるくらい高頻度の疾患です。

消化器内科・外科の看護師は言うまでもないですが、救急看護師も知っていて当たり前の疾患になります。

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胆嚢炎・胆管炎の病態整理の説明

胆嚢や胆管に細菌が感染して炎症を引き起こす疾患です。
胆管は十二指腸と繋がっているため、逆行性に大腸菌などの細菌が流入して、炎症を招くことが多いと考えられています。

胆汁の役割

胆汁は食事で摂取した脂肪分の消化・吸収を助ける消化液です。
肝臓で1日に約500㎖生成され、この胆汁が通る道を胆道と呼びます。
さらに、胆道は肝内胆管、肝外胆管、胆嚢に分けられます。

胆嚢は、胆汁の貯蔵庫です。
食事をとると、胆嚢内で濃縮された胆汁は胆嚢が収縮することにより肝外胆管に送り込まれ、十二指腸に流れ出し消化を促進させます。

胆嚢炎・胆管炎の主な原因は「結石」と「腫瘍」

肝臓・胆嚢の構造と胆汁の役割から考えると、胆嚢炎・胆管炎は胆汁の流れが悪くなると感染しやすくなります
つまり、胆汁の流れをせき止めるような状態、結石や腫瘍が原因となりが胆嚢炎・胆管炎を引き起こすのです。
胆道を流れる胆汁は細菌が繁殖しやすく、細菌が侵入すると急速に繁殖して、胆道内の組織に炎症を起こします。
胆嚢炎・胆管炎の9割の患者は結石を持っています

また、胃瘻など経管栄養中の方は口から食事を摂取しないため、消化液が分泌する必要がありません。つまり、胆嚢が機能しなくても問題ないため胆嚢炎を合併しやすくなります。

(*結石は脂肪分の多い食生活の変化により保有者は増加しており高齢かつ男性の方が多いと言われています。)

胆嚢炎・胆管炎の主な症状

  • 右上腹部痛
  • 黄疸
  • 発熱

症状が悪化すると胆汁内で繁殖した細菌が全身へ広がり、敗血症やDICを併発する可能性があります。
(他の臓器と比較し、肝臓に流入する血液量は多いため胆管炎・胆道炎は全身状態を悪化させやすい)

敗血症やDICを併発した場合、意識障害やショックバイタルとなり、重症です。

胆管炎・胆嚢炎の検査と診断

  • 採血(炎症値CRP,WBCの急上昇、胆道系酵素の急上昇ALT,AST,γ-GTP )
  • 腹部超音波
  • CT検査

採血では肝臓の機能を確認できます。
超音波検査→CT検査の順で行うことが多く、超音波検査では特に胆嚢結石の検出率は高く、総胆管結石は見つからない場合もあります。
CT検査では、腹部全体や胆嚢・胆管周囲を見ること有用で、腹膜炎などの合併症を確認することが可能です。

胆管炎・胆嚢炎の治療

保存治療(補液+抗生剤治療)

保存治療となります。炎症を抗生剤で抑え、絶食により胆汁分泌を抑制させ休ませることができます。
腹痛が強い場合は、鎮痛剤の使用による対症療法で様子を見ます。

保存治療で良いと判断した場合でも抗生剤治療が奏功せず、炎症が悪化する可能性もあるのでバイタルサインや症状の増悪に注意が必要です。

内視鏡下逆行性膵胆管造影検査(ERCP)によるドレナージ

口から十二指腸まで内視鏡を挿入し、胆管・膵管の出口である十二指腸乳頭から胆管の中に細いカテーテルを挿入します。
カテーテルより造影剤を流し、放射線で撮影しながら胆管の中の様子(結石や腫瘍、狭窄の有無)を評価します。
また、胆管炎では必要ないですが、胆汁を検体として採取したり、組織や細胞をとって癌の診断に役立てることもできます。

ERCPは胆嚢炎・胆管炎の時に高頻度で実施する検査かつ治療であり、重要です!

*逆行性と言うのは、口→胃→小腸→十二指腸→胆嚢・胆管という順で通過しアプローチするので本来の胆汁・肝臓の機能の流れとは逆であるという意味で逆行性と言われています。

ERCPを施行しながらできる治療法がステント留置術、結石治療の2種類です。

ステント留置術

腫瘍により胆管が狭窄し、胆汁の流れが悪くなっている場合、狭窄部位にステントを留置して胆管を広げます。その結果、胆汁の流れが改善され、胆管炎・胆嚢炎が期待できます。

結石治療

  • 内視鏡的乳頭切開術(EST)
  • 内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)
  • 内視鏡的採石術・砕石術

十二指腸乳頭とは、総胆管の十二指腸の出口にあたります。

内視鏡を通して、挿入した電気メスで切開したり、バルーンを挿入して膨らませて乳頭部を拡張します。
乳頭から総胆管内にバスケット状のワイヤーやバルーンを入れて、結石を十二指腸に引き出します。

結石が大きい場合は、特殊なカテーテルを胆管内に挿入して石を小さく砕いて結石を取り除きます。

ERCP後のドレナージについて

胆管炎・胆嚢炎の治療後はドレーンを留置します。
留置の仕方と留置する場所によって5通りあります。

この表を見て規則に気づきますか?

英語の頭文字をとって、ドレナージの名前が決まってます。
なので、丸暗記しなくても、E=内視鏡、P=経皮 N=経鼻など…頭文字の意味が分かれば、どこから挿入し、どこのドレナージをしているかを理解できる名前になっています!

胆管炎・胆嚢炎の場合、ERCP後のドレーン管理は重要です!

【ドレ―ン留置のポイント】

目的:胆汁の流出を欲し、黄疸を緩和させる
性状:褐色(ウイスキーのような色)
量:400ml~1000ml/日
異常:胆汁の量が急激に減少、38℃以上の発熱が続く、チューブ挿入部の感染や膿汚染、胆汁の色が緑になる
皮膚観察:刺入部の皮膚トラブルと抜去の可能性に注意

看護師はこれらの項目の観察が必要です。

胆嚢手術

結石が原因で胆嚢炎になった場合、無症状であれば経過観察も可能です。
しかし、何らかの症状を認める場合、いずれ胆嚢炎を引き起こし、反復することもあるので、腹腔鏡下手術で胆嚢切除をすることも治療の1つです。

Q:なぜ結石だけでなく、胆嚢まで切除する必要があるのか?

実は、石だけ取る方が難易度が高いのです。
そして一度、結石ができると、繰り返すことがあり、そのような胆嚢を持っていることがリスクになるので、切除した方が原因ごと取り除くことが可能です。

救急看護の実際

救急外来

1~2次救急の腹痛・高熱を主訴に来院した場合、すぐに胆嚢炎・胆管炎を思い浮かべます。

まずはバイタルサインと疼痛の程度、採血と補液の開始です。
この時、体温が高くなくても悪寒を訴えがあると、40℃近く急上昇することが多いので要注意です。

胆管炎・胆嚢炎の場合は、炎症値と胆道酵素が急上昇しているので診断は比較的容易です。
また、既往に肝臓がん・胆管がん・膵癌がある場合は、胆管炎・胆嚢炎を繰り返している場合、結石を保有している場合が多いので診断は早いです。

ERCPに出棟するか、保存治療になるかのどちらかなので医師の指示に従い準備を始めます。

ERCPの出棟のための準備は静脈ラインの確保と延長ルートの接続程度なので特別なことはありません。

救急部ICU

ショックバイタルになった症例が入院することはありますが、ERCPで原因となっている結石を取り除く、狭窄を広げることでバイタルも安定することが多いので、胆管炎・胆嚢炎が原因でICU管理が必要になる事例は少ないです。

むしろ、一般床で入院していた患者が急変した時に一時的にICU管理となることはあるでしょう。

救急病棟

胆管炎・胆嚢炎の患者は一晩に1~2例くらい入院が決まる印象です。

ERCP後に入室する場合
鎮静剤の影響で呼吸抑制のリスクがあるので酸素投与や呼吸の変化に注意をしましょう。
レベル改善後は、疼痛の確認は重要です。

ERCPによってどこにドレーンやステントを挿入しているか、検査中どんな薬剤をどれほど使用したかは必ず確認しましょう。

ERCPへ出棟する場合
検査に行くまでにショックバイタルになることがあるので、バイタルサインの症状の変化に注意が必要です。

保存治療の場合
疼痛が強い場合は、鎮痛剤を活用し安楽に過ごせるよう援助します。
胆汁様の嘔吐が持続する場合はドレーンを挿入した方が良いこともあるので医師へ報告するとともに、電解質異常にも注意が必要です。

保存治療で抗生剤投与を開始しても、経過が改善しないこともあるので採血値の推移にも注意しましょう。

【観察項目】

  • 腹痛
  • 嘔気、嘔吐
  • 黄疸
  • ドレーン周囲トラブル
  • 排液量・性状
  • 採血値(感染・胆道系酵素)

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