海外赴任が決まったら予防接種を!後編【腸チフス・髄膜炎・ポリオ・ジフテリア・黄熱病】

前回の日本脳炎・破傷風・A&B型肝炎、狂犬病の予防接種の続きです。

小さいころに予防接種をきちんとしている人でも20代以降になると免疫が落ちているので感染する可能性があります。
日本に住んでいれば、感染症を気にせず生活できる環境ですので、追加接種を強く推奨していませんが、海外では撲滅していない感染症も多いので要注意です。

腸チフス

チフス菌が原因の感染症です。
菌を保菌している人の便や尿に汚染された水、食べ物などを摂取することによって感染します。
潜伏期間7~14日

 

症状

1病期:体温が段階的に上昇し39~40℃に達し、腸チフスの3主徴とされる比較的徐脈、バラ疹、脾腫が出現します。3主徴全てを認めることはまれで特にバラ疹と呼ばれる皮膚症状は出ない人が多いです。

2病期:40℃台の稽留熱となり、チフス性顔貌と呼ばれる無欲状顔貌がみられ、下痢または便秘を認める。重症例では意識障害、難聴にもなります。
*稽留熱とは日差1℃以内で持続

3病期:弛張熱を経て、徐々に解熱します。この時期に腸出血とそれに続く腸穿孔といった合併症を起こすことがありますが、抗菌剤が使える現代ではまれです。
*弛張熱とは日差1℃以上で、最低体温が37℃以上

4病期:回復に向かいます。

渡航地域

東南アジア、アフリカ、カリブ海、中央および南アメリカ

予防接種

初回接種の1回です。

髄膜炎

細菌性とウイルス性があるが、渡航先で怖いのが細菌性の髄膜炎です。
原因となる細菌は年齢や渡航先によって異なり、多くは飛沫感染です。
潜伏期間も菌によって異なりますが、原因菌を判定できないことも多いです。

・年長児〜青年期:肺炎球菌、インフルエンザ菌、髄膜炎菌
・成人:肺炎球菌、髄膜炎菌
・50歳以上:肺炎球菌、グラム陰性桿菌、リステリア菌

と言われています。

症状

多くは発熱、激しい頭痛、嘔吐などを示し、進行すると意識障害、痙攣を起こします。感染が悪化すると敗血症となり、ショック状態となり予後不良なこともあります。
髄膜炎特有の症状を髄膜刺激症状と呼んでいます。

(出典元:https://www.kango-roo.com/sn/k/view/3350)

渡航地域

アフリカ中央部のいわゆる髄膜炎ベルトといわれる、西はセネガルから東はエチオピ アまでの地域。
特に乾期の12~6月に多いです。

予防接種

初回接種の1回のみ。

ポリオ

ポリオウイルスが原因で、ウイルスを持っている人の糞や汚染水によって感染します。ほとんどが汚染水が問題であり、きれいな水を得ることができない地域ではトイレの後もその汚染水で手を洗うことになるので、手洗いで予防するということも難しいのです。
潜伏期間6~20日

症状

感染者の90〜95%は不顕性に終わり、約5%で発熱、頭痛、咽頭痛、悪心、嘔吐などの感冒様症状(前駆症状)を認めます。
また1〜2%では上記の症状に続けて、無菌性髄膜炎を引き起こします。
前駆症状が1〜10日続いた後、四肢の非対称性の弛緩性麻痺が現れます。
特に、下肢に認めることが多いです。

知覚障害はないですが、球麻痺を合併すると、飲み込みや発語、呼吸機能が障害され、人工呼吸器を必要とすることもあります。

たいていは、麻痺は完全に回復するが、発症から12カ月過ぎても麻痺や筋力低下が残る場合は永続的な後遺症を残す可能性が高いです。
死亡率:小児で2〜5%・成人で15〜30%
*妊婦さんは重症になる傾向があります。
*球麻痺を合併した場合の死亡率は25〜75%と高率です。

渡航地域

アフガニスタン・ナイジェリア・パキスタン

予防接種

初回接種後、5~8週間以内に2回目、6~12か月後に3回目。

ジフテリア

ジフテリア菌が原因で、この菌を保有している人の咳などの飛沫感染で広がります。主に上気道粘膜の疾患だが、眼瞼結膜・中耳・陰部・皮膚などに症状を認めることもあります。
潜伏期間2~5日

症状

発熱・咽頭痛・嚥下痛など感冒症状から始まります。
鼻の粘膜に感染すると、鼻汁、鼻孔・上唇にびらんを認めます。
扁桃・咽頭部の感染では声がかすれたり、犬が吠えるような咳が続く、白~灰白色の偽膜が形成され、剥がすと出血しやすい特徴があります。

扁桃・咽頭部に感染した場合が危険です。気道に近いため偽膜が気道・声門に及ぶ可能性があり、気道窒息に至る可能性があります。
死亡率:5~10%

怖い合併症

急性期の1~2週間以内または回復期の4~6週間以内に心筋炎になると突然死を招く危険があり、要注意です。

末梢神経炎は合併症の頻度は高いですが、予後は比較的良好と言われています。

渡航地域

アフリカ・南アメリカ・アジア・南太平洋諸国・中東諸国・東欧・ハイチ・ドミニカ共和国など

予防接種

初回の1回のみです。

黄熱病

野口英世で有名ですよね!研究をしている際に本人自身が黄熱病を発症し亡くなりました。
サル・人および蚊をウイルスは宿として存在しており、蚊が媒介して感染します。
潜伏期間3~6日

症状

【軽症】
発熱・頭痛、鼻水、悪心、嘔吐、結膜の充血、蛋白尿など
インフルエンザの症状に類似しています。
1~3日で回復し後遺症などはありません。

【重症】
発症は突然で、頭痛、めまい、高熱で始まります。
翌日には高熱なのに脈拍数は40~50台と徐脈を認めます。この症状が特徴的で「Faget徴候」と呼ばれています。
また、黄疸、出血(鼻出血、歯肉、下血、子宮など)、尿たんぱくも認め、中にはせん妄と言って、自分自身や状況が分からなくなり混乱状態に陥ることもあります。

死亡率:発症すると20%

渡航地域

中南米・アフリカ

予防接種

初回の1回のみ

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